Our Treatment 当院の最新治療

着床前診断(PGT-A / PGT-SR)

ご夫婦どちらかに均衡型染色体構造異常(相互転座等)をお持ちの方はこちら

着床前胚染色体異数性検査
(PGT-A)

PGT-A 動画上映会のご案内

日本産科婦人科学会の主導によるPGT-Aに関する新しい臨床研究が2020年1月より開始され、当院も本臨床研究へ参加しております。

臨床研究の実施に伴い、PGT-Aの基礎的な内容についての患者様向け動画上映会を下記のごとく開催いたします。

上映動画 知っておくべきPGT-A基礎知識(30分)
会場 当院9階待合エリア内、入口から見て右手前のエリア
開催日 毎日 9:00~16:00(時間内で30分の動画をエンドレスで上映しております)
参加可能な方 当院に現在通院中の患者様

ご予約は不要ですが、席数に限りがありますので満席の場合がございます。
あらかじめご了承ください。

PGT-Aとは

PGT-A(Preimplantation genetic testing for aneuploidy)とは、体外受精によって得られた胚の染色体数を、移植する前に網羅的に調べる検査です。欧米では流産を防ぐ目的で既に実施されていますが、日本では日本産科婦人科学会が命の選別につながるとの観点から認めていませんでした。しかし、日本国内でのニーズの高まりを受け、PGT-Aが有用かどうか検証するため、2017年11月から2019年1月の間、日本産科婦人科学会主導による「PGT-Aの有用性に関する多施設共同研究のためのパイロット試験」が、国内の体外受精実施施設4施設において実施されました。

PGT-A 新しい臨床研究のご案内

本臨床研究に関して、お電話でのご質問はご遠慮ください。
詳細は当ホームページに記載しておりますので、ご確認ください。

流産とPGT-A

流産とは、妊娠22週未満に妊娠が継続できなくなることです。
日本の体外受精での流産率は、全国実施施設の登録データによると総妊娠あたり26.5%(※1)です。
妊娠12週未満の初期に起こる流産の主な原因は「赤ちゃんの染色体異常」と言われています。
※1 ARTオンライン登録データ 2016年, 平均年齢38.1歳

染色体とは、遺伝子の集合体です。
ヒトの場合、23対(46本)持っています。
1~22番までの各1対計44本の常染色体と、性別を決定する1対2本の性染色体があります。
お父さんから1本、お母さんから1本ずつもらうので、それぞれの染色体が2本ずつになりますが、それが1本だったり、3本だったりすると、不都合が生じて胚がうまく成長することができません。
そのような場合は、多くが着床しない、もしくは着床できたとしても流産や死産になってしまいます。

PGT-Aをおこない、染色体の数の過不足がない胚を子宮に戻すことができれば、染色体の数の異常による流産を避けることができると期待されています。

ヒト染色体像の例
ヒト染色体像の例

PGT-Aの方法

体外受精をおこない胚盤胞まで成長した段階で、栄養外胚葉細胞の一部を生検し、5~10細胞程度回収します。胚盤胞は一旦凍結保存されます。採取した細胞を検査機関へ提出します。

PGT-Aの方法

検査の方法

1. アレイCGH

比較ゲノムハイブリダイゼーション法:Array comparative genomic hybridization
胚盤胞から切り取った細胞を用いて染色体数の過不足を評価する検査です。一対の性染色体を含めた46本が正常となり、染色体数に過不足がある胚を異数性胚といいます。染色体が1本多く3本ある場合をトリソミーと言い、逆に1本少ない場合をモノソミーと言います。
下記図の検査結果では18番染色体が1本足りず、これらのような胚は形態評価が高くても、着床しない、もしくは着床しても流産してしまうことが予測されるため、移植候補から除きます。
結果例)モノソミー 18, [45,XX,-18]

PGT-Aの方法 1. アレイCGH

2. NGS

次世代シーケンサー(Next Generation Sequencer:NGS)
NGSにより従来の手法より迅速な網羅的ゲノム解析が可能となりました。
この手法で胚盤胞の染色体の数を検査します。
下記図の検査結果では20番染色体が1本少ないため、移植候補から除きます。
結果例)モノソミー 20, [45,XX,-20]

PGT-Aの方法 2. NGS

アレイCGHもしくはNGSの検査で染色体の数に過不足の無いもののみ移植に用います。

PGT-Aのメリット・デメリット

メリット

胚の染色体数を評価し、異数性を示す胚盤胞を移植候補から除くことにより、流産のリスクが減ることが期待されます。更には、妊娠率の向上、初回の妊娠を得るまでの時間の短縮が期待されます。

デメリット

  • 検査のために細胞を採取することによる胚盤胞へのダメージが心配されます。
  • 検査をしても染色体異常に起因しない流産は防ぐことができません。
  • 通常の治療費用とは別に、胚の検査費用がかかります(胚盤胞1個あたり11万円)。

留意点

検査精度が100%ではないため、異常ではないのに数的異常ありと判定され、本来であれば移植され子供になったはずの胚が移植に用いられない場合が想定されます(偽陽性)。
また、数的異常があるのに移植可能と判定され移植に用いられる可能性もゼロではありません。
その場合は、着床しても流産・死産等の転帰となることが予想されます(偽陰性)。

PGT-Aのメリット・デメリットのイラスト

当院が参加した
日本産科婦人科学会PGT-A特別臨床研究

(実施期間2017年11月から2019年1月)

  • 「原因不明習慣流産(反復流産を含む)を対象としたPGT-Aの有用性に関する多施設共同研究のためのパイロット試験」
  • 「反復体外受精・胚移植(ART)不成功例を対象としたPGT-Aの有用性に関する多施設共同研究のためのパイロット試験」

当院の結果

習慣流産を対象としたPGT-A

習慣流産 PGT-A群 対照群
登録数 (登録平均年齢) 14 (39.0歳) 38 (38.6歳)
移植数 (登録あたりの移植率) 8 (57.1%) 30 (78.9%)
胎嚢確認数 (妊娠率) 7 (87.5%) 17 (56.7%)
流産数 (流産率) 1 (14.3%) 5 (29.4%)
継続妊娠数 (登録あたりの継続妊娠率) 6 (42.9%) 12 (31.6%)

PGT-A(習慣流産) 参加者詳細:採卵は2回まで

  • 妻年齢:35~42歳。胎嚢が確認できた臨床的流産が2回以上(ARTによる流産を1回以上含む)あり、出産歴なし。少なくとも1回は流産絨毛染色体検査を実施し、染色体数的異常が認められた。夫婦の染色体検査正常。
  • 除外項目:子宮奇形、明らかに妊娠の障害となる子宮病変を有する。抗リン脂質抗体症候群患者。血栓症を有する、もしくは血栓症の既往を有する者。重篤な合併症がある。
  • 対照群は同一条件にて抽出した。不育症検査・染色体検査の実施は問わなかった。

反復ART不成功を対象としたPGT-A

反復ART不成功PGT-A群 対照群
登録数 (登録平均年齢) 19 (38.6歳) 39 (38.7歳)
移植数 (登録あたりの移植率) 12 (63.2%) 30 (76.9%)
胎嚢確認数 (妊娠率) 10 (83.3%) 14 (46.7%)
流産数 (流産率) 0 (0.0%) 2 (14.3%)
継続妊娠数 (登録あたりの継続妊娠率) 10 (52.6%) 12 (30.8%)

PGT-A(反復ART不成功)参加者詳細:採卵は2回まで

  • 妻年齢:35~42歳。過去に臨床的妊娠の既往がなく、形態良好胚を移植するも3回以上着床(胎嚢確認)なし。夫婦の染色体検査正常。
  • 除外項目:子宮奇形、明らかに妊娠の障害となる子宮病変を有する。重篤な合併症がある。
  • 対照群は同一条件にて抽出した。染色体検査の実施は問わなかった。

今回の臨床研究では、移植あたりの妊娠率が上がり、臨床妊娠後の流産率が下がる傾向がみられました。

PGT-A 新しい臨床研究のご案内

2022年4月1日付

PGT-Aの有用性に関する多施設共同研究のためのパイロット試験に続き、日本産科婦人科学会主導による、「反復体外受精・胚移植(ART)不成功例、習慣流産例(反復流産を含む)、染色体構造異常例を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の有用性に関する多施設共同研究」が開始されました。
当院では、学会が提示した条件に当てはまる方に対して臨床研究を実施します。
*ご希望いただいても、臨床研究に参加できるとは限りません。対象になるか下記内容をご確認ください。

対象者

下記①②どちらかに当てはまる方。
反復ART不成功の患者様
反復流産の患者様

PGT-A 新しい臨床研究 対象者

① ② どちらかにあてはまる患者様は、今回の臨床研究にご参加いただける可能性があります。

上記以外にも条件があり、除外項目に該当する場合はご参加いただけません。

ご夫婦の染色体検査は必須になります。また、追加の検査が必要となる場合があります。
※必要検査を他院で実施された場合は、結果の持参をお願いしております。

参加方法

下記①②どちらかに当てはまる方。
反復ART不成功の患者様
反復流産の患者様

PGT-A 新しい臨床研究 参加方法

PGT-A Q&A

希望をすれば誰でもPGT-Aはできますか?

今回の臨床研究は、日本産科婦人科学会の提示する条件に当てはまる方のみになります。
希望されてもご参加いただけない場合があります。

反復ART不成功とはなんですか?

体外受精・胚移植(ART)を繰り返しても、妊娠しないことです。
今回の臨床研究は、直近の体外受精・胚移植(胚盤胞移植に限る)で2回以上連続して臨床的(赤ちゃんの入っている袋が確認できた)妊娠が成立していない患者様が対象となります。

反復流産とはなんですか?

妊娠はするのに、流産を繰り返してしまうことです。流産を2回繰り返すことを反復流産、3回以上繰り返すことを習慣流産といいます。
今回の臨床研究は、臨床的(赤ちゃんの入っている袋が確認できてからの)流産を2回以上反復している患者様が対象となります。

反復ART不成功もしくは反復流産に当てはまれば必ず参加できますか?

学会が提示する除外基準に該当した場合はご参加いただけません。
PGT-Aカウンセリングに進む前に詳細を確認させていただきます。

この臨床研究へ参加する前に行う検査はありますか?

当院では本臨床研究参加の前に以下の検査を行っていただく予定です。

  • ご夫婦の染色体検査(必須項目)
  • 不育症検査(習慣流産のみ)

他院での検査データをお持ちの場合は、PGT-Aカウンセリングの際にお持ちください。

費用はどれくらいかかりますか?

通常の体外受精費用とは別に、以下の費用(税込)がかかります。

臨床研究への参加前

  • ご夫婦の染色体検査(二人分):44,000円

臨床研究へ参加後

  • 胚盤胞PGT-A検査(胚盤胞1個あたり):110,000円
    ※例)1回の採卵周期で凍結胚盤胞が3個得られた場合は3個分のPGT-A検査代330,000円をご請求させていただきます。
  • 慢性子宮内膜炎検査(一般的な診断法):19,800円(反復ART不成功のみ)

その他、再診料などは別途ご請求させていただきます。
また、必要に応じて追加のPGT-Aカウンセリングや検査費用をご請求させていただくことがあります。
通常の体外受精費用に関しては当院ホームページ治療費をご参照ください。

すでに凍結保存してある胚盤胞は検査できますか?

既に凍結保存されている胚に対しての、融解・再凍結を伴うPGT-A検査はできません。
今回の臨床研究は採卵周期から開始させていただきます。

分割期胚で検査はできますか?

今回の臨床研究は胚盤胞で検査を行いますので、分割期胚では検査を行いません。
胚盤胞で検査を行う理由は、分割期胚では本臨床研究で計画されている解析に必要な細胞数を確保できないためです。

PGT-A検査を行った場合、新鮮胚での移植はできますか?

PGT-A検査を行った場合は新鮮胚での移植はできません。
胚盤胞は一度凍結保存して、検査機関からの結果を待ちます(1ヶ月以上かかると思われます)。検査の結果、移植可能胚が得られれば、融解して移植をおこないます。

PGT-Aを行えば、必ず移植できますか?

PGT-A検査結果によっては移植可能胚がなく、移植に至らない場合がございます。

移植可能胚が得られた後、次の周期も採卵をすることはできますか?

今回の臨床研究では、採卵周期で移植可能胚が得られたら、次の周期は原則として移植になります。

赤ちゃんの性別はわかりますか?

今回の臨床研究では学会の規定により、性別はお伝えしておりません。

この臨床研究に参加して妊娠した場合、羊水検査を受けた方がいいですか?

PGT-Aの診断精度は100%ではないため、確定診断である羊水検査(出生前診断の手法の一つ)をご検討ください。ただし、前置胎盤など羊水検査の実施が難しい場合もありますので、産科の先生とご相談ください。

加藤レディスクリニックに通院していませんが、PGT-Aの臨床研究に参加できますか?

本臨床研究の対象は、現在当院に通院されている、もしくは過去に通院されていた患者様となります。
当院を受診されたことのない場合は、初診予約

をお取りの上、まずは当院への受診をお願いいたします。
PGT-Aを行えば元気な赤ちゃんが生まれますか?

PGT-Aは胚の染色体を調べる検査なので、染色体変異に起因する流産のリスクを下げることは期待できますが、染色体以外の原因による流産や赤ちゃんの病気等は分かりません。

着床前診断(PGT-SR/PGD)

当院では2006年度より日本産科婦人科学会に対して着床前診断の認可申請を行っています。認可申請の対象となる方は、以下の申請基準を満たすご夫婦のみです。

  • 習慣ならびに反復流産(2回以上の流産)の均衡型染色体構造異常を有するご夫婦
  • 重篤な遺伝性疾患児を出産する可能性のある均衡型染色体構造異常を有するご夫婦

男女産み分けは受け付けておりません。

着床前診断結果(2019年5月現在の情報です)
認可数 195名
治療数 157名
延べ移植数 225回
延べ妊娠数
移植あたり妊娠率
128回
56.9% (128/225)
移植あたり妊娠率
妊娠あたり流産率
18回
14.1% (18/128)
延べ出産数
出産児数
101回 (13名:第2子の出産)
103児 (2名:一卵性双胎の出産)

当院で着床前診断を行って生まれた赤ちゃんたちにつきましては、生下時、特に大きな問題はないことが確認されています。 また、専門医による予後調査などを行い、お子さんへの長期的なフォローアップも試みています。残念ながら流産された方々につきましては、ご夫婦の染色体構造異常が原因の流産ではないことも検査で確認済みです。

当院の患者様で染色体構造異常(染色体転座等)をお持ちの方はご来院の際にご相談ください。

医療機関の方へ
患者様のご紹介について(医療機関専用窓口)
※患者様からの直接のお問い合わせは、現在お受けしておりません。
  • PGT-SRの患者様のご紹介につきましては下記の用紙にご記入の上、専用窓口までご連絡ください。
    診療情報提供書(PDF 360KB)
    FAX:03-3366-3908
  • 患者様のご希望があっても対応できない場合もあることをご了承ください。

遺伝相談をご希望の方へ

当院での治療において、遺伝や遺伝子が関係する病気や問題に対して詳しい説明が聞きたい方、 ご不安やお悩みがあり相談されたい方などに対し、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが最新の遺伝医学の情報をわかりやすく説明し、 ご自身が意思決定をするためのお手伝いをいたします。
当院の患者様で遺伝相談をご希望の方は、ご来院の際に当院職員へご相談ください。